砂糖菓子7つ、カノヨ街から見る「世界観の提供」という、画期的なシナリオ作成法について。

秘匿HO・PvPシナリオの話です。

 

前提として、秘匿HOシナリオは矛盾を抱えています。

シナリオ構造は探索者同士の敵対を望むものの、キーパー・プレイヤーは終盤まで対立を望みません。そのため、シナリオ序盤での探索者間の敵対行動を、ハンドアウトや探索者的ロールプレイといったもので押さえつける、という手法を取っています。

しかしながら、探索者同士が非協力的ではない場合はシナリオの探索が往々にして進みませんし、最後まで協力的であろうとすることは全体の利益であっても探索者個人の利益にならず、かつハンドアウトがそれを許さない事が多いです。

すなわち、探索者同士の協力という、従来のシナリオでは担保されていた前提がないために、プレイヤーが「空気を読んで」探索者を動かす必要があります。これは役割演技、ロールプレイの精神とは反するものです。

 

この矛盾をいかにして解決するか、という時に考え出されたのが「世界観の提供」です。

シナリオとしては問題を提供しない。すなわち、探索者が解決すべき、シナリオの最終的な目標を設定しないのです。そして、ハンドアウトにより探索者にそれぞれ目的を与える。これらそれぞれの目的は異なるものの、目的を達成するために必要な手段は部分的に被るのです。

これにより、探索者目線で「自分の目的のために、他の探索者を利用する」ことを正当化し、秘匿HO・PvPシナリオにおける矛盾を解決するというアプローチです。

 

このアプローチを用いたのが「砂糖菓子7つ」や「サクラソウ」、「カノヨ街」といったシナリオです。これは手段のために目的を選ばないという、マキャベリも驚きの手法ですが、流行を見るにかなり成功しているといえるでしょう。

 

 

もっとも、一般にクラシックに分類されるシナリオで良しとされるプレイスタイルをとると、あまりの情報の繋がらなさに唖然としますし、そこはコンセンサスを取る必要があります。そもそも遊び方が異なるのです。キャラクターの会話や秘匿チャットに楽しみを置いているため、シナリオ全体における問題の解決法の模索は二の次です。

この辺りが燃える原因になっているのではないか?と思うなど。