1.自己紹介。
始めまして、一乃(いちの)です。
2014年(チェッカー卓が流行った頃)にCoCを始め、今は翻訳シナリオを中心に遊ぶプレイグループにいます。
シナリオ販売は2017年から行っており、「七つの栞」や「ドデカポータル」など、歴史シナリオをオムニバス形式にした同人誌を、だいたい年1冊出してます。
ただし、同人シナリオを知り合いのもの以外、ほとんどプレイも購入もしない人なので、流行りのシナリオには疎い方です。
2.SPLLについて思うこと。
正直なところ、私は歓迎はしてません。
私は日本に暮らしており、世界一の治安とインフラを享受しているので、消費税10%は納得して払っています。BOOTHの手数料10%もPDF販売で印刷費を稼がせて頂いてるので納得してます。しかしSPLLの10%は、私に何を与えてくれるのでしょうか?何もしてくれません。だから払いたくないです。
悪の秘密結社ライツしては、ライセンスを作る事で権利者・創作者の面倒な諸問題を一元管理し、そのコストを創作者側に負担させようという魂胆なのでしょうが、元より私は著作権を侵害するような創作活動はしてません。だから、私はそもそもSPLLを必要としていない。
そうであるにも関わらず、SPLLを必要としていないからといって申請せずにシナリオ販売すると悪目立ちするという点で、"息苦しくなった"とは感じています。
もっとも、ライツに賛同した企業が、F.E.A.R.のように「電子販売は全て禁止」という、本当に愚かな選択を取らなかった点はまだ評価できますが(実際、ダブルクロスは落ち目です)。
3.現実的なコストの話
2020年のコロナ流行以降、ゲームマーケットのブース価格は倍ほどになりました。これは出店サークル数の減少、およびソーシャルディスタンスの観点から仕方がない事だと思います。
その結果、印刷費や旅費を回収するには、冊数を増やし単価を上げる必要が出てきます。こうして会場から500円のコピ本は消え、最低でも1500円のオフセット印刷が中心となりました。それと、新クトゥルフ登場によりユーザーが6版派と7版派分断してしまった事も、販売数の減少に繋がりました。
この辺りから、製本をコスト面から諦め、シナリオ単体でPDF販売をするサークルが増えてきたように思えます。2020~2022年は誰にとっても厳しい年だったと思います。
実際、私が2020年に出したCoC7版同人誌「アプロディタの梯」は、前年からは考えられない程に売り上げが落ち、今も70部(印刷費換算45000円)程の在庫を抱えています。
正直なところ、メジャージャンルの薄い本はともかくとして、CoCシナリオ(特に7版)というニッチな界隈では、PDF販売である程度の売り上げをカバーしないと、到底活動を継続できないと思ってます。本当に売れてる一部サークルは違うんでしょうけど。
このような点から「冊子は印刷費の回収があるから金を取って良いが、PDF販売は同人活動の領分を超えているので、版元の許しが必要。」という、SPLL狂信者の理論は、現実が伴っておらず、誰も幸せにしないのはないか?と個人的には思っています。
4.SPLLは払っても、払わなくてもいい。
払わなくても法的根拠も罰則が無いので。NTTと同じです。
払えば白寄りのグレーゾーンになりますが、払わなくとも(SPLL制定前と同じ)グレーゾーンです。
実際、BOOTHはポジショントークとしてSPLLを歓迎しているように言ってますが、今のところSPLL未申請のシナリオを差し止めたりはしていません(というか法的にできません)。
しかし、最近のTwitterを見るに「SPLLを申請していないシナリオは明確な黒」と言った認識でバッシングを行う、いわゆる自治厨のような方が散見できます。正しくは、申請してもしなくてもグレーです。
私はSPLLを払う方を止めませんし、その選択を尊重します。私の界隈でも払っている側の方の方がやや多いです。販売価格の10%で公認を得られるのは魅力だとは思いますし、"賢い選択"だと思います。
しかし、払う義務がないものを払っていないからといってバッシングを受ける覚えはないので、払わない選択を尊重して欲しいなとは思います。