【(新/旧)クトゥルフ神話trpg】シナリオの書き方 その2 情報の種類と質【CoC】

(新/旧)クトゥルフ神話trpgのシナリオの書き方その2です。

今回は情報について

 

情報の出し方はNPCとの会話や現場の証拠、あるいはカルトのやり取りや魔導書などいろいろとありますが、主に4種類あります。

 

■1 探索者に次すべき行動を示すもの。

最も直接的な情報です。あなたたちは次にこれをしなさい、と書いてしまうものです。

露骨なものだと、「ここに忍び込んでこの情報を取ってきなさい」「邪神を封じる儀式の手法を確立しなので、この場所でそれを行いなさい」など。

これは初心者向けシナリオによくあるものですが、慣れたプレイヤーだと「お使い」と感じ、退屈に感じてしまう事もあります。

少なくとも、やるべき事を示すにしても、与えるのは動機や目的のみに留めておき、その手法は作者が模範解答を1つか2つ考え、それ以外のプレイヤーの発想を受け入れる余地を残しておくのが良いかもしれません。

海外産には1つも考えていない、いわゆる丸投げタイプもありますが、明らかに無理ゲーだと探索者にロールプレイに背いた蛮行を強いる事にもなりますから、個人的には(舞台にもよりますが)最悪でもショットガンを撃てばなんとかなる程度には抑えておいた方が良いと思います。

 

■2 シナリオの背景がわかるもの

これには2種類あり、1つはシナリオの背景がわかり、次に黒幕がするであろうことや、既にしているであろう事柄を推察でき、探索者の行動を促すものです。

これは1より少し回りくどい方法ですが、プレイヤーに推理させる事ができるため、おつかい感を軽減する事ができます。良い例だと「殺人リスト」などです(名作なので、ぜひ読んでほしいです)。

もう1つは、完全にフレーバーに徹したもので、これは「よく練り込まれた背景をプレイヤーに魅せたい」という、ある意味で作者のエゴとも言える情報ですが、本当によくできた背景というのは開示しただけでプレイヤーのモチベーションを刺激し、セッションの満足度を上げるものです。この手法は古くに起きた事件が今になって世間に悪影響を及ぼす、すなわち実にラヴクラフト的なシナリオにて真価を発揮します。

 

■3 wikipedia程度のうんちく

これは「毒入りスープ」ライクな白い部屋クローズドや、質の低い同人シナリオにあるもので、個人的には避けるべきと思っているものです。専門家ならまだしも、聞きかじった程度の情報を自慢げに見せつけたところで、学のあるプレイヤーはこれらに対し「だから何?」という反応を抱くだけなんですね。

「実は日本の〇〇神は、クトゥルフ神話の〇〇だった!」という情報も同様で、あくまでメタゲーム的な視線を持たないと、これら情報は探索者にとって有益にならないため、おすすめしません。

 

■4 レッドへリング

燻製にしんの虚偽。詳しい意味はググってください。要するに雰囲気はあるが、シナリオには何ら関係のない情報です。

これは海外産の、おもに旧版時代のシナリオに多いものです。最近のものだと「屋根裏部屋の怪物」にはレッドへリングがいくつか仕込まれてますね。キース・ハーバーやケビン・ロスはこういったものを好む傾向にある気がします。

レッドへリングは良質であればある程、探索者をあらぬ方向へと導きます。そういう意味で時間の限られた現代人のオンラインセッション向けとしてはあまり褒められたものではないですし、何よりキーパーの技量が必要です。そういう意味でレッドへリングを好んで追加するのは、今風のシナリオを書く上ではあまりおすすめしません。

これが真に輝くのは、実は関係のない情報だと思っていたものが、のちのシナリオで重要だという事が判明する… キャンペーンシナリオにおいてです。

 

とりあえず羅列しましたが、どれも結局は好みです。

ただ、探索者が求めている情報が与えられないというのはプレイヤーにとって苦痛ですから、1や2に近い情報を最も多く配置すべきなのは明らかです。

 

また、探索者が探索する"動機付け"も大切です。

そこに行く理由が一切ないのに、マップに名前があったり資料に名前が出ているというだけで、そこに行く事が前提にシナリオが書かれており、なぜかわからないが向かうと情報が出る… 

みたいなシナリオは話として破綻してます。同人だと割とありますが。

 

行く理由はないが、それを探索者の動機に落とし込むのもロールプレイだという主張もありますが、個人的にはどちらかというと大反対です。それはただのメタゲーム的視線に過ぎないと考えています。