【(新/旧)クトゥルフ神話trpg】シナリオの書き方 その1【CoC】

(新/旧)クトゥルフ神話trpgのシナリオの書き方です。

 

1.シナリオはどこから書くか

これは2パターンあります。

「背景から書く」か、「シーンから書く」かです。

それぞれにメリットがあります。

 

1A.背景から書く

Aという人物が、Bをしたい。

Bを達成するために、Cという手段を取った。

Cの結果、Dという事が起きた。

Dの結果、Fという人物が犠牲となった。

 

という事を考えます。そして、探索者はFの友人です。

そして、Fの死因を探るとDが判明し、調べるとCが明らかになり…

と先ほど考えた事を逆行して、シナリオを進めます。

 

1A-1.背景から書くメリット

これは、とにかく「破綻しづらい」という事です。

背景がしっかりしているため、シナリオの必要な情報を想定することが簡単です。

また、予想外の情報を求められた場合も、背景から推察して情報を出す事ができます。

これにより、探索に自由度を与えることができます。

 

1A-2.背景から書くデメリット

これは、「似たようなシナリオになりやすい」という事です。

導入→探索→結末(ほとんどの場合、戦闘)という形になりがちであり、破綻しづらい分、よく言えば王道を行く、悪く言えばありきたりなシナリオになりやすいです。

もちろん、背景に強烈なインパクトを持たせればその限りではありませんが、このような傾向はあります。

 

1A-3.背景から書かれたシナリオの例

この世にあるCoCシナリオのうち、7割~8割は背景から書かれています。

「悪霊の家」や「屋根裏部屋の怪物」は、間違いなくそうでしょう。

 

1B.シーンから書く。

こちらは、「こういったシーンをやりたい」というのを先に考えてから、それに合った背景を後付けする手法です。

Aというシーンをしたい。

Aというシーンには、Bという状況が必要だ。

Bという状況になるには、Cという背景が必要だ。

といったように、シーンを中心に、前後を補足する形となります。

 

1B-1.シーンから書くメリット

背景から書く手法ではまず不可能なような、ダイナミックなシーンが演出できます。

すなわちインパクトのある、記憶に残るシナリオになりやすいです。

 

1B-2.シーンから書くデメリット

これは、「破綻しやすい」という事です。特定のシーンに持ち込む為にご都合主義的にシナリオを書いているため、作者の想定を外れた場合、シナリオが思惑通り機能しない事があります。

また、背景が後付けであるため、矛盾が生じやすくなります。

完璧な形に仕上げるためには、相当数のテストプレイが必要になります。

 

1B-3.シーンから書かれたシナリオの例

もちろん断定はできませんが「死者のストンプ」はラストシーンを考えてから、それに見合う背景を考えたように思えます。同じ作者の「失われた夢の国」もそうでしょう。

「バーニングスターズ」や「陰鬱な使命」は、ラストシーンから考えられている気がします。

 

1C.結論

これらは本来、シナリオによって使い分けるものです。ですので、好きな方で良いと思います。

本当にシナリオを書くのが初めてなら背景から書いてみることをおすすめしますが、別にどちらかが格段に優れている訳ではありません。

やりたい方でやりましょう。

 

 

2.シナリオの形はどうするか

これも大きく分けて2パターンあります。

「線形」と「非線形」です。

 

2A-1.線形シナリオとは

線形とはそのままの意味で、シナリオが線のようになっているシナリオです。

・導入→A→B→C→D→結末(完全な線形)

・導入→A→(B or C or D)×3→F→結末(分岐あり線形)

・導入→A→B→C→結末 + D,E,F(線形+枝分かれ)

完全な線形シナリオを書いたとしても、テストプレイの段階でプレイヤーが予想もしなかった場所に向かい、その場所の情報シナリオに組み込んだ結果、線形+枝分かれになる事もままあります。

分岐アリ線形はB、C、Dを任意の順番で探索でき、それぞれ情報を得て、任意のタイミングでF(大抵の場合、黒幕の居場所)に入る事ができるシナリオです。全て回らずともなんとかなるものが多いです。

もちろん、分岐パターンはこれ以外にもありますし、時間経過などでイベントが挿入されるものもあります。

 

2A-2.線形シナリオのメリット・デメリット

とにかく、制作コストが低いことです。

枝分かれでコストがかさむ事はありますが、出すべき情報は次につながるものに限られるので、分量は最小で済みます。

また、プレイ時間が読みやすく、キーパー難易度も低めです。

デメリットとしては、シナリオが不完全である場合、プレイヤーは「シナリオの導線」を探すのに必死になる事です。そうした場合、キーパーも「本線に戻す」作業に必死になります。

 

2B-1.非線形シナリオとは

 

またの名を「サンドボックス」と言います。砂場という意味ですね。

要するに「これだけの設定と場所を考えたので、好きに遊んでね」といった内容のシナリオです。

怪しい場所をあちこち回っているうちに徐々に黒幕の姿が見えてくるといったタイプのシナリオです。

例としては「ロッホ・ファインの謎(CoC2版)」「療養所にて(クトゥルフ・フラグメント)」「紅文字(CoC7版)」「ダニッチへの帰還(ダニッチの怪)」「天球音楽(星辰正しき刻)」辺りです。

説明が難しいため、これらのシナリオを読んでみるのが良いかと思います。

 

2B-2.非線形シナリオのメリット・デメリット

最大のメリットは自由度の高さです。プレイグループ度に大きく結末が変わるため、何度もキーパーしても飽きないというのも良い点です。また、極めて破綻しづらいです。

デメリットとしては「膨大な情報を用意する必要がある」という、作成コストの重さ。そしてキーパー難易度の高さ(アドリブ処理に慣れればこちらの方が楽なこともあるが)です。

 

2C.結論

非線形シナリオを作るのは大変です。というか天性の才能のようなものが必要です。

線形シナリオに無限に分岐を増やすうちに、非線形でも回るようになったという事は稀にあるらしいですが、初めから非線形シナリオを書くのはおすすめしません。

とりあえず線形シナリオを2~3本作って、興味がある方は非線形に挑戦してみるのが良いのではないでしょうか?

ちなみに筆者はシナリオを30本ほど作ってますが、非線形を書いたことはないです。

 

 

3.時代と舞台はどうするか

クトゥルフ神話trpgは原始時代から未来の宇宙までプレイできますが、そういった変わり種はあまりお勧めしません。とりあえず、有名な時代で書いてみるのが良いでしょう。

 

3A.1920年アメリ

ラブクラフトの描いた、CoCで最もオーソドックスな時代です。

基本的にアドベンチャー風味のシナリオは、特に理由がなければ1920年でプレイした方が面白い事が多いです。

銃が使え、便利な通信技術がない。これほどにシナリオ向きな舞台も珍しいものです。

 

3B.1890年イギリス

いわゆるガスライト。紳士の時代。

1920年アメリカに比べ、おしとやかで、探索寄りなシナリオはこの舞台が良いです。

連射銃や車がなく、階級社会です。

まだまだ伝承が息をしている時代で、シナリオフックも豊富です。

 

3C.1920年代日本

大正日本。モダンな雰囲気です。

現代日本のシナリオを思い付いた時、"現代の"日本である意味を考えて、特になければこの舞台でプレイするのが良いです。

1920年アメリカと比べると、ややおしとやかな舞台です。

 

3D.現代日本

実はかなりCoC向きではない舞台です。

あまりにテクノロジーが発達しており、シナリオライターの想定していないものが持ち込まれる可能性があり、そのテクノロジーを難癖をつけて封じるぐらいなら別の舞台でプレイした方が良いからです。

現代日本でシナリオを書くのであれば、現代の日本である意味を考えなくてはなりません。加えて、時事ネタ(特に宗教や政治)はプレイヤーとの意見が割れた時に地獄を見るので避けるべきです。

 

 

その2は気分が乗ったら書きます。

↓書きました

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