たまに「俺は頭が良くてプレイングも上手いのに勝てない.これはゲームが運ゲーなせいだ!」といった主張をする人がいます.
こういう人は「運の要素」を正しく認識するだけの知性と知識が足りていません.
まず前提として「運ゲー」の反対は「実力ゲー」ではありません.
ちなみに実力ゲーの反対は「実力ゲーじゃない」です.
運の要素と実力の要素(以下,実力介入度)は,一切関係ないのです.
これを言うと「運の要素が強いゲームは,実力者が勝てない」という反論が出ると思います.
実のところ,この意見はある程度は正しいです.
羽生 善治と戦うなら,将棋ではなくジャンケンで挑むべきです.
本田 圭佑と戦うなら,サッカーでもジャンケンでもない,第三の何かで挑むべきです.
ただ,運の要素というのは,実力と対極にある訳ではないのです.
ゲームにおける実力介入度とは「正解を選び取る難しさ」です.
ゲームが恐ろしく単純で,ほとんど戦術と呼べるものが存在しなければ,いくらその道を極めたとしても,小学生に勝つのは難しいのです.
ようするに,ゲームの幅がなければ,プレイヤーの幅もなく,実力差が生まれない.
ここで,運が介入します.
ゲームに運が絡むと,想定される盤面の数というのは,凄まじいパターンになります.
シャドウバースで全く同じ状況を見たことはあるでしょうか?おそらくないでしょう.
全プレイヤーが,ゲームの全ての瞬間において初見なのです.
これは,ゲームに幅を生み,選択肢を増やし,正解を選び取ることを困難にします.
すなわち,ゲームへの実力介入度を増やすということです.
将棋はその駒数で無数の選択肢を生み出します.
麻雀はツモという運要素のもとに,ツッパリ,オリ,読みetc...
もっとも,シャドウバースで1ターンに取れる択というのは実に少ないです.
相手ターンに行動することもできません.
トレードにはセオリーがあり,手札を予想するメリットはあまりありません.
この辺りが実力介入度の低さといえるでしょう.
少なくともマジック・ザ・ギャザリングよりは,簡単で底の浅いゲームです.
この辺りを人間は「運ゲー」と感じてしまうのでしょう.