【CoC】「黄昏の天使」改編案について

クソシとして名高い「黄昏の天使」ですが,ポテンシャルは素晴らしいものがあります.

日本神話とクトゥルフ神話の融合,パワーがありすぎてプレイヤーを置き去りにする描写とアニメのような怒濤の展開,強大な敵etc...

 

ただ,強力すぎる敵と理不尽なデストラップ,厳しすぎる判定と失敗による即死は,現代ウケしません.そのまま無改変で回すと,プレイヤーは有坂に誹謗中傷を繰り返し,クトゥグアの招来でシナリオを吹き飛ばそうとします.

もっともこれは,当時(昭和末期)trpgのスタンスが,GMとプレイヤーによる口プロレスを良しとするもので,それを前提として書かれているからなのですが…

 

ただ,この辺りを現代風にアレンジすれば,十分楽しめるものになります.

私はたそてん6グループで完走し,7グループ目も残すところ2話となる程に回しました.

最初の2班ほどはかなり原作に忠実に回したため,プレイヤーの評判は「面白いキャンペンでした!!!(キレ気味)」って感じでしたが,後半になるほど評価は上がっていきました.

6班目にてついに「ニャル仮面より面白かった」という評価を頂けたため,具体的な改善案を今後回す方向けに残しておこうかと思います.

 

ここから先,「黄昏の天使」のネタバレを含みます.

 

 

■1話 真紅の戦慄

全体として完成度の高い良シです.たそてんがどういうシナリオか「わからせる」必要があるため,殺人ホテルの"アレ"や,地下豪の"アレ"は,判定を極めて緩くしつつも残しておくべきだと思います.

由里はキャンペーンを通してキーパーソンとなるNPCですので,プレイヤーの反感を買うようなキャラ付けにすべきではないです.ホテル前で遭遇させ「できる先輩探索者」として振舞うのが良いでしょう.

「武器は持ってる?」「ここからは警察も手だしできない領域よ?」「覚悟はできている?」と言った感じで,探索者を静止しつつも,頼れる女性とするのが良いでしょう.

たそてん全体に言える事ですが情報が難解なので,地下の部屋2~4の情報は,由里の口を使ってかなり丁寧に,言いすぎるぐらい解説した方が良いです.

序盤の情報が理解できていないと後半の情報へのモチベーションが出ないため,1話~3話は徹底的にかみ砕くべきです.そういう意味でも読み込みはかなり必要ですね.

4話以降は有坂先生も情報逃しを気にしてるのか,かなり情報を重複させている&フレーバーが多いので,適当でもある程度はなんとかなります.

由里が「情報を知りすぎている」としても,シナリオに矛盾は生じません(たぶん).

そしてクライマックスですが,おおよそ有坂先生の想定通りには進みません.大抵の場合,地下の部屋6でクライマックスとなってしまい,ほとんどのプレイヤーは部屋12まで逃げるという発想が出ません(探索してすらいない事がほとんどでしょう).

なので,通路5と部屋6の間の"アレ"を極めてヤバそうに描写し,先に別の部屋を探索させましょう.そして,ラストですが… 由里は覚悟を決めているので,「腹にダイナマイトを巻きつけている」という事にすれば,一番スムーズに進みます.

あとは脱出シーン.そのままエレベーターから脱出させても構いません.最後は火薬庫

に引火したという事にして,全てを吹き飛ばしましょう.

探索者がヤタノカガミに固執するようなら,壁ごと破壊すれば持って行けるという事にしても構いません.ブルーシャドウのボスが鏡ではなく,そこそこ強いモンスター(幽鬼の本体ということにでもすればよいでしょう)に変わるだけです.大した問題ではありません.

 

■2話 ブルーシャドウ

探索者の嫁,優子ちゃんが登場するシナリオです.なんでこのシナリオ,部屋の間取りがないんですがね… 描きましょう.

幽鬼を由里ちゃんのエモ矢で貫くシーンは最高に熱いですが,クライマックス感が強すぎて,この後に村に行く気になれません.

最初は幽鬼は逃げ回り,シャンデリアを落とすなどして探索者を攻撃,いい加減うんざりして探索者が先に村に行くように誘導しましょう.

家→寺&銀行→村→幽鬼と対決→鏡と対決

この流れが一番しっくりきます.幽鬼のステータス管理は面倒なので適当でいいです.どのみちエモ矢で貫かれて死ぬので.だんだん強くなってると描写で感じさせれば十分かと.

鏡と守護者の戦闘は地味か拍子抜けなので,鏡がビームを撃ってくるとかそういう設定にして,呪文完成まで工夫しつつ耐え凌ぐとかにした方が面白いです.なんなら守護者いりません.

坂東さんも言ってましたが「未亡人」という設定は,平成生まれピーポーには魅力的に見えません.なので,先にプレイヤーに性癖を聞いておいて,それに合わせるのが良いと思われます.

 

■3話 銀色の仮面

問題児です.序盤のおつかいが地獄です.面白くないです.

判定ほとんど抜きで超絶早回しして,1時間半ぐらいで北海道入りしましょう.

葵ちゃんには死亡フラグを発言させまくって,それを回収させましょう.お約束すぎますが,ウケます.

この後はオーロラ&黒山羊との戦闘ですが,奇襲されるので割とどうしようもないです.生弓矢はターゲットを絞って,1人を確実に殺しに来るという事にすべきです.じゃないと全滅します.

2ラウンドほど戦って,探索者が絶望してきた頃にナチスを登場させ,アハトアハトでも撃ち込んでやりましょう.もはや戦闘ラウンド処理どころではなくならせるのです.

「探索者はこの地獄から生き延びるために<幸運>ロールを成功させなくてはならない!」とかそういう.

なんだかんだ探索者が生き延び,周囲を確認すると,オーロラが死んでおり,もしかすれば生弓矢や護符(50点装甲の奴.わかりやすくルビーの護符,サファイアの護符,エメラルドの護符とでも名付けておきましょう)が残されている,って感じで十分だと思います.

パワーワードと意味不明さでゴリ押し,プレイヤーにツッコミのタイミングを与えないキーパリングが必要です.

そんな感じでプレイヤーがぐったりしてるところに,葵ちゃんのエモエモカセットテープ.いい感じに終わります,たぶん.

 

■4話 白夜館

そのまま回しても十分面白いです.最初に女子高生を食事に仕込まれた毒で死亡することにし,NPCが犯人捜しを始め,疑心暗鬼になり… という感じで推理小説っぽくすると面白いです.探索者に推理させましょう.

CoCは推理ゲーじゃないので,犯人はすぐボロを出すぐらいで良いと思いますが.部屋を出た隙に荷物を調べるとボウガンあるやんけ!とかそうなんで十分.

あとは探索者次第ですが,じわじわ追い詰めようとするのであれば,館マップを使って戦闘もいいでしょう.暗殺するならサクっと済ませてOK.

デモンくんのシーンは非常に面白いのですが,ボスが地味すぎるので「無敵のミイラで一切のダメージを受けないが,本を燃やすと1d6ラウンド後に死ぬ」みたいなガッシュ式にしましょう.戦闘に幅が出ます.

気を付けないといけない点として,GOTの暗殺者が両方とも気絶するとデモンのイベントが発生せずシナリオが終了します.

 

■5話 レイディ・ロンリー・ヴァイオレット

たそてん最高のシナリオであり,最高の問題児です.

・博物館にはトラックの搬入があり,そのタイミングで入り込めるようにしましょう.

・博物館内のセキュリティはガバガバにしましょう.

・白木は博物館内で死んでるということにして良いです.コロナがあの女を操って殺したとかそういう.そんぐらいシンプルじゃないとやってられません.

・瑠璃音ちゃんは「人の愚かさと神の傲慢さを持ち合わせた,俗っぽい女」って感じでいきましょう.じゃないと信用されません.「タムちゃんがさ~」とかそういう,レトロなJKのイメージで.出会いがしらに「私,2000年前からあなたたちみたいな勇者が来るの待ってたんだよね.」「ついてきて.剣にふさわしい感じの男にしてあげるわ」とかそんな感じ.

・村までの登攀2回はたそてんを代表するクソクソ&クソなので,瑠璃音ちゃんがアナ雪みたく道を作ってくれるという事にしましょう.好感度も稼げて最高です.

・GOTのバリアが原因で瑠璃音は神社に近づけないという設定にしましょう.瑠璃音が強すぎて「なんでお前,最初からそれしてないの?」とか言われるので.

・ミ=ゴは戦闘すると強すぎ&面白くないので,探索者をGOTの一員だと思い込み「あの~ 給料の振り込みどうなってます?レアメタル.白木さんに話通して貰えます?」って話しかけてくるぐらい適当で良いです.愚痴といいつつGOTの内情をミ=ゴにバラさせるぐらいで良いです.白木が死んでると全て辻褄が合います.

・探索者が剣を回収→村が燃えてる!→アカネちゃんが操られ村燃やしてる!瑠璃音が本気出すと村人が死んじゃう!みたいな感じで誘導して,コロナに乗っ取られたアカネの口から「我が名はコロナ.その剣を我々に渡してもらいたい.探索者一人で山頂に来い.少しでも逆らったら誘拐した女子供を殺す」と言わせましょう.プレイヤーはおそらく「行く意味あります?」とか言いますが「瑠璃音ちゃんが悲しむでしょ!!!」でごり押ししましょう.

・コロナ戦は交渉パートにすると面白いです.人質が30人ぐらいいて,探索者が不穏な動きをする度に1d6人ぐらい崖から飛び降りて死に,その値分の正気度が削られるとかで.コロナは「その剣をこちらに投げ渡して貰おう」とか言うんですが,まぁ大抵そう上手くはいかず不意打ちで探索者に襲われて死にます.

・四季の乙女はボディーアーマーを抜けない雑魚ですし,抜いたら抜いたで即死させてくるクソウーマンなので出さなくて良いです.

・誘拐イベントは面白くないので全カットで

 

■6話 ブラックソング

・稲田=風のシムーン説は面白くないのでカット.別人ということにします.

・一族の指輪ゲット→蘭子が船にいるとわかる→ナチスと共に襲撃 これで船までたどり着けます.

・蘭子の部屋前(本来は誘拐された探索者が)で風のシムーン(デカい地虫衆)が「ここから先へは進ませない」って襲ってくるだけで全て辻褄が合います.

・蘭子の家の探索がダルすぎるので,地虫衆がすげーフレンドリーに「俺ら,何千年も前から拝家に仕えてるけどんやけど,最後の命令がこの家を守れとかでずっと動けないんや.ほんまに暇やで.え?蘭子様が何してるかって?知らんなぁ… あ,家見てくか?」って感じで全部情報出してくれるのが楽かと.

・ラストシーンは人によっては理不尽に感じるため「いや~ ついにラスボスの夕泊 蘭子を倒しましたね~ 黄昏の天使,これにてキャンペーン終了です!正気度報酬は~」

みたいな感じで語って,明確に"ここはムービーシーンだよ!"と印象付けてから,一気に読み上げましょう.

 

■7話 緑の死都の守護者

・洞窟入りまで30分を目指しましょう.シティ部分が面白くないので.

・洞窟にワープして最初の激流は,失敗すると静岡県に流されるという処理にするとスムーズです.こんなとこで死んでも面白くないので.

・3000年整地ショゴスはめっちゃ面白いですが,こんなとこで死んでも面白くないので,<CON*5>を1回とかで十分でしょう.

・ヤサカトメは挙動が謎過ぎる上,本来の裁定だと全滅必須なので

>全員が1回は正気度ロール(遭遇時のものとは別)に成功するまで暴れる.このロールは自分のラウンドに1回振れる.

>八雷神呪は正気度ロールに成功してない探索者1人を集中的に狙う.

これで探索者1~2人が2000ダメージぐらい喰らって溶けますが,全滅するよりは遥かにマシです.

 

■8話 黄昏の鼓動

アマノムラクモノツルギを「常に貫通,装甲無視,破壊不能,使用者に敵対するNPCの呪文の"発動"を無効にする」というテキストに変更します.探索者が日本刀技能を持ってないなら,「非常に扱いやすいため,POW*2+15が基本命中率」とかもつけていいと思います.

蘭子には150MPのうち100MPを使って肉体の保護を貼って,HP+350ぐらいします.これは発動済みなのでアマノムラクモで無効化できないものとします.

蘭子は呪文が使えないので「八雷光剣」というビームサーベルで戦います.95%のカタナです.スペックは「常に貫通,装甲無視,破壊不能」という,魔封じを除けばアマノムラクモと同じものです.

蘭子はアマノムラクモの使い手が死亡し呪文が解放されれば,八雷神呪で探索者に10000ダメージを与えて全滅させられますが,当然刀同士なので受け流しが発生します.神剣同士のつばぜり合いは熱いですよね.お互い破壊不能なのですさまじい火花とエネルギー波を出しながらカンカンするだけなんですが.

その間に他の探索者がライフルの連射で380点ぐらいのHPを削り取っても良いですし,蘭子が受け流しに失敗すればアマノムラクモは「肉体の保護を貫通しダメージを与える」ため,蘭子を(ほとんどの場合)一撃で死亡させることができます.

アマノムラクモの使用上,クライマックスになってムンビや狩人を召喚できるのはおかしいので,見なかったことにします.

少なくともヲロチが完成するまで逃げ回るとかいうガッカリ戦闘よりは面白いです.黄昏の鼓動で最初にして最後の「データで殴り合うガチンコ戦闘」です.

由里によるオロチ封印は戦闘終了後でいいです.戦闘にアマノムラクモを使ってるので.別に大した問題じゃないです.

 

 

こんなもんですね.ここまでやれば間違いなく満足度の高いものになります.